「コンサート」


 今日、コンサートに行ってきた。ホント久々、いったい何年ぶりだろう?
行ってきたのは、日本が世界に誇る天才打楽器奏者STOMU YAMASH'TA。(ツトム・ヤマシタと英語で発音するにはこれが一番よいということでこのスペルにしたという。)私が初めて彼を知ったのは、今から、4半世紀くらい前のこと。スゴイ打楽器奏者がいるという話を聞いて、レコードを買ってみたら、ぶっ飛んだ。そのアルバムは、イギリスはロイヤル・アルバート・ホールでのライブ盤で、『入船』なんていう感じのタイトルだったような気がするが、もしかしたら「ロイヤル・アルバート・ホールのツトム・ヤマシタ」というのかもしれない。なぜか、タイトルを覚えていない。ジャケットは、浮世絵風で、江戸時代の頃の港の風景だった。このアルバムあたりは、現代音楽からは少し距離があり、ジャズ、ロック、民俗音楽といった感じの曲だった。それでも、聴衆の拍手はクラシックの拍手だったのを覚えている。もともとがクラシックで、小学生で市立のオーケストラのメンバーだったらしいのだが、17歳にして渡米し、クラシックとジャズを学び、1969年には「打楽器のイメージを変えた男」と米国タイム誌で評されるなど、20代で既に巨匠の地位を確立。武満徹の「カシオペア」はツトム・ヤマシタのために作曲したものである。日本で初めて打楽器のソロ・コンサートをやったのも彼。話は戻って、前述のレコードは、残念ながら京都から引っ越す時にどこかに行ってしまったうえ、既に廃盤となっているため、聴くことができない。どこかで中古があったら買いたいと思っているのだが・・・、全く見かけない。で、このアルバムにも参加してた、モーリス・パートは後にブランドXのメンバーになったのだが、ツトム・ヤマシタも70年代後半GOプロジェクトででロック界へも立ち寄った。
 その後は京都(生まれ故郷)二条城(?)で活動していたりしたのはなんとなく知っていたのだが、80年代後半になると全く話も聞かなくなってしまった。
ところが、去年の雑誌を買ったら、ツトム・ヤマシタと前田仁さんという方のインタビューが掲載があった。讃岐の石「サヌカイト」の奏者とサヌカイト楽器創作者の2人へのインタビュー記事。ここで初めて、近年のヤマシタの活動と1300万年前の石「サヌカイト」を知った。正直どんな音かとても聴きたかった。
 2月になり、週刊の地方新聞にヤマシタのコンサートが2月14日に「つくば」で開催されるという記事を発見。早速チケットを買いに行くと、2階席しか残ってなかった。が、気にせず購入。チケットにはツトム・ヤマシタ(作曲・サヌカイト・マルチパーカーッション奏者と書いてある。他に、石笛、和太鼓、横笛、天台声明をやる4人の名前がクレジットされてた。
 そうして、やっとコンサート当日を迎えた。一言で云うと「よかった。」やっぱり、ツトム・ヤマシタはすげぇ〜や。それに、サヌカイトの音には驚かされた。ここ15年くらいヤマシタはサヌカイトにはまっているようなのだが、それもわかる。とんでもない石だ。それに石笛。これもすごいや。他はどうも・・・。生音じゃないのも使ってたな。
 1947年生まれだから、まだ、56歳。20代の頃の激しさ感じられないが、彼こそが「サヌカイト」にベスト・マッチな奏者だと思わせる存在感が感じられた。
 今夜、確かにヤマシタの手によって「サヌカイト」は変幻自在の音色を空間に送り出されていた。