『めがね』
 『めがね』を買った。元々近眼でメガネをかけていたのだが、ここのところ、老眼になってしまい、遠くは眼鏡を掛けなきゃ見えないし、近くは眼鏡をはずさないと見えないと云う二重生活を送っていた。
 これが中々不便で、本屋に行くと、背表紙を見て本を手に取るまでは眼鏡を掛けてるけど、開いて中を読むのには眼鏡をはずさないと読めない。眼鏡と云うのは掛けて使うものだからはずすととっても邪魔になる。沢田研二は♪片手にピストル、片手に花束〜と歌ったけど、左手に本を持って、右手に眼鏡だとページをめくりずらい。しょうがないので耳当てを口で加えちゃうけど、みっともない。仕事だと、パソコンのモニターは眼鏡がないと見えないけど、手元の資料を見るときなんていうのは眼鏡をはずさないと見えない。こういう場合、眼鏡を置く所があるから邪魔にはならないけど、眼鏡を掛けようとした時に何処に置いたか分からなくなり、横山やすしの『めがね。めがね。』状態になってしまう。だいたい、眼鏡がないと見えないのに、その眼鏡を外してしまうんだから当然のことだ。これじゃ不便なので、遠近両用眼鏡を買うことにした。前にも買おうと思ったんだけど、『危ないよ。特に階段とか・・・。』という話を聞くことが多く躊躇していたのだ。でも、掛けたりはずしたりは面倒でしょうがない。チラシが入り、1万円くらいで遠近両用眼鏡が売ってる。これなら失敗してもしょうがねぇえかと思えば、買うしかない。
 眼鏡屋さんに行く。眼鏡を作ったことのある人なら知ってると思うけど、まん丸の変てこなメガネフレームにいろんなレンズをとっかえひっかえいろいろやってくれる。そもそも近視に乱視なので眼鏡を作る時はえらく時間がかかる。初めてのお使いじゃないけど、初めての遠近両用眼鏡なので、特に気にする。(こういうところにBLOOD TYPE ”A”というのを感じられるような気がするのだが・・・。)それでは、初めての遠近両用眼鏡購入実況中継(ビデオ)をどうぞ。

店員:いらっしゃいませ。
ボク:遠近両用眼鏡を欲しいんですが。チラシの1万円くらいの。
店員:このコーナーの黄色いタグの付いたものがフレームにレンズが付いての値段です。
ボク:(商品を探しながら)初めて遠近両用を使うんですが、フレームは大きい方が良いんですか?
店員:できれば大き目の方が・・・。
  (フレームを選んでから)
ボク:これでお願いします。
店員:検査や調整しますのでこちらへお願いします。
 (と、視力検査をし、あの丸眼鏡でレンズの組み合わせを始める。
店員:遠くを見る方はいままでの眼鏡と同じで大丈夫ですね。(今掛けてる眼鏡もここで買ったんだよ〜ん。)こういう風になりますが。
ボク:なんか両サイドが歪んで見えるんですが。ちょっと歩って見ていいですか?
 (店内を歩く)
ボク:こんなんじゃ気持ち悪くなりませんか?
店員:レンズの特性でどうしてもそうなります。でも、車を運転する人もいますよ。
ボク:え〜っ!運転しちゃうんですか?これで!?顔を横に振るととんでもないですよ!?
店員:慣れもあると思いますよ。
ボク:慣れないでしょ、これ。
店員:え〜っと、レンズを別のにすれば少し違うんですが・・・。(と云いつつ、引き出しからレンズを取り出し、あの眼鏡に付ける。)
ボク:全然違うじゃないですか。これでも少しは歪むけど。
店員:減少するだけで、歪みをなくすのは出来ないですね。
ボク:でも、これならそれなりかな。
店員:ちょっと値段が高くなるんですが・・・。
ボク:いくら高くなるんですか?
店員:(レンズの価格表をボクに見せながら)セットのレンズ価格がこれで、このレンズの価格がこれですから、その差額の9000円高くなります。
ボク:9000円ってレンズ1枚?
店員:いえ、全部でです。
ボク:じゃ、これにしてください。1万円のじゃ使えないですもん。
店員:こちらの方がいいですよね。
ボク:階段を使う時、「結構怖い思いをする」と、云う話を聞くけど?
店員:近眼の人は眼鏡掛けてる分裸眼より見やすいらしいですよ。
なるほどなぁ。一理あるなぁ。
ということで、1週間して出来上がったのがこれ。
階段も別に怖くないし、車の運転も平気。
でも、立ってテーブルなんか見ながら顔を左右に振ると、揺れて見える。
なんか船酔いしそうな雰囲気。この状態で酒飲むとえらく酔えそうな気がする。