『2007.Feb.21』
 2月21日といえば、『セシル・テイラーと山下洋輔・デュオ・コンサート』の日。一月前ほどに『セシル・テイラーと山下洋輔のデュオ行かない?』と友達に声をかけてたボクに酒屋さん(出張でダメ)からも薬屋さん(平日ダメ)からも色よい返事が貰えず、『こりゃ当日券にして一人で行こうかな。』と思っていた。その後、ケンゾーさんを誘ってもダメ。ミチヒコちゃんに声をかけたら『いいよ。』と天使の声が聞こえてきた。『じゃ、チケット買っておくわ。S席8000円ね。』と段取りを踏んで、電話でチケットを頼むと『A席7枚しか残っていません。』と優しく教えてくれた。席を聞いたら『ステージ正面3階席の一番後ろです。』という。そんなところでA席じゃ4000円のD席ってどんな所だ?『布団部屋か?』と思ったりして、とにかくS席を確保した。それでは、当日の打ち合わせをする。
  『ついでに映画観ない?』   『何?』  『世界最速のインディアン』  『いいよ』
  『酒でも飲んでこようか?』   『いいよ』
  『じゃ、バスで行かない?』   『いいよ』
と、素晴らしい。

前日、有楽町で11時10分から観ることにして、8時過ぎのバスで行くことにした。

当日、8時頃、車庫で『どんぐり』にカバーをかけてたらミチヒコちゃんが来た。
ちょっとして、近くのバス停に行き、バスに乗り東京駅に向かう。
10時前にに東京駅に着き、有楽町の映画館まで歩いて行ってもまだ始まるまで1時間くらいある。整理券発行の映画館なので一応受付に行く。水曜日なので1000円で観られる。ラッキー!15番と16番の整理番号を手にすると、『10時55分にロビーに来てください。整理番号順に案内します。』という説明。こんなのなくても余裕で入れそうな気もするのだが、転ばぬ先の杖という言葉もあるしね。まだ時間があるので喫茶店で暇をつぶそうと隣のホテルのラウンジでお茶を飲むことに。入ってメニューを見ると『紅茶一杯1300円』 高いなぁ〜。コーヒーも同じくらいで、柑橘系のジュースが1000円くらいで、ミネラルウォーターだって何百円もしてた。それを考えれば安いのか?紅茶と銀座マカロンのセット1500円也というのがあったので、これをオーダー。話しているうちに、時間となり会計をする。なんと税別価格。驚いたなぁ〜。まぁ、映画を安く観られるから行って来いかな。映画館に行くとすごい人だかりだ。なんと整理番号も100番を超えているようだ。早めに整理番号をゲットしたのは正解だったのである。番号が番号なのでスクリーン中央のポジションをゲット。長い映画予告のコマーシャルが終わり、やっと『世界最速のインディアン』が始まった。これは、ニュージーランドのおじさんが、1920年のバイクを改造して、1962年にアメリカ ボンネヴィルで世界記録を打ち立てた実話を基にした映画だ。バイクの映画だけど、人の良い主人公が出会う人たちとのやり取りをメインにしている。夢と努力と優しさを主人公に託して表現してるようだ。面白い映画だった。彼が1967年に出した記録が今でも1000cc未満のバイクの世界最高記録として残っているという。すげぇなぁ〜。出口に向かうと、ロビーにはまだまだ人があふれてる。なにせ東京23区でロードかけてるのが3館しかないらしく、しかも新宿の映画館が休館日で、もう1館は足立区だっけかな?だからここに集まっちゃってるんだろうなぁ。今日は1000円だし。すると『ロビーに人が多いので、観終えた人は左手に向かってください。』という声が聞こえてくる。左手に向かうとそこには階段があった。階段で降りろということらしい。下りながら思った。『ここ5階だぞ!』
 映画館を出ると1時30分になってた。昼食にカレーを食べに行く。実は昨夜もカレーをつくばに食べに行ったのてカレー続きにはなってしまうがそんなことは全然気にならない。カレー屋さんに入り、薦められたカレーを注文する。ちょっとすると日本語の上手なインド人の店員さんが『ビール飲みたいねぇ。』と云いにきた。他にも客はいるのにうちらのテーブルにだけ云いに来る。『なんでだ?』と思ってみても、やっぱり飲みたいので注文する。昨夜の店にも置いてあったマハラジャ・ビールだ。つまみに大きいチップが出てきた。お〜、これと同じようなものを昨日のカレー屋さんで買ってきていたのだよ。休みのうちに作ってもらおう。油で揚げるとすぐ出来るらしいのだが・・・。店の人は『イージー、イージー』と云っていたのだが・・・。ビールを飲んでるうちにカレーが出来てきた。『写真を撮るなら今ね。チキンの骨を取る前がきれいね。』となにかと教えてくれる。さてカレーのプレートにはサフランライス、カレーに浸っているチキン、マッシュポテト(みたいなの)に茹でたキャベツみたいのが乗ってて、チキンの骨を取ってくれながら、『全部混ぜて食べると美味しい。』と説明してくれた。さらさら状態のカレーが好きなのだが、そういうカレーから比べるとちょいと重いかもしれないが、美味しい。でも、ポテトはボクはいらないな。ここのカレーは1400円。さっきの紅茶は納得いかんなぁ。
 店を出て駅に向かってブラブラする。山野楽器があったので寄る。山野楽器といえば、中学2年か3年の時に一人寂しくフィルム・コンサートを観に来た記憶がある。3本立てでメインがストーンズの『ハイドパーク』、もう一本が『ワイト島』、もう一本はカントリー・ミュージックだった。沢田研二のベストとRCサクセションのベストを買う。ガロも欲しいんだけど、2枚組みなので手を出しずらい。コンサート会場近くまでいって酒でも飲んでようということになり、初台に向かう。新宿駅での乗り換えは地下深く、これだけ歩いてると初台に着いちゃうんじゃないかと思うくらいだった。会場の『東京オペラ・シティ』に着いたのが4時前。開場6時30分、開演7時。まだまだ時間がある。英国風パブと看板に書いてある店で飲む。ビールを4種類飲み、最後にエドラワダーで締めくくって、会場に向かう。ちなみにエドラワダーというのは、スコットランドで最も小さ蒸留所で作られたシングルモルト。この蒸留所がまたまた古いときてる。会場に着くとかなりの人がきていた。席に向かうと、流石に3階からだとステージが真上から見てるみたいだ。ステージ中央にピアノが1台置いてある。『1台?連弾するの?おじさん二人で?フリーなのに?』と頭の中を考えが走り回る。案内のお姉さんがいたので、『連弾なの?』と聞いたら、『最初はソロで、その後連弾です。』という返事。『へぇ〜。そんなのやるの?』と思いながら席に座る。双眼鏡を持ってきてよかった。と思えるほどステージが遠い。『ここで7000円じゃ4000円はどこ?』と考えてしまう。今日のステージをDVDで発売するというので、ステージ付近には5台のカメラが配置されていた。さてさて、山下洋輔が最初に出てきてソロで2曲弾く。トリオは学生の頃にかなり観たけどソロは初めてだ。2曲目の『やすらぎ』を終えて山下洋輔がMCで、『マイ・ピアノ、マイ・チェアーでやることになりましたので、準備に少し時間をいただきます。』と云う。『なんと、ピアノ取り替えるんだ?』と思わず感動してしまう。セシル・テイラーもソロ1曲を終えて、20分の休憩。二人の持ち時間はそれぞれ25分っていう感じかな。休憩中に山下洋輔のピアノを再度ステージに運び出し、チューニングをしている。ミチヒコちゃん曰く、『こっちの方が音楽らしい。』  『・・・う〜ん』
 さてさて、ついにデュオですよ。連弾じゃないですよ!デュオですよ!山下洋輔がMCを勤め、その喜びを言葉にしている。うれしいんだろうなぁ。デュオは凄い!あの山下洋輔に胸を貸してる感じのセシル・テイラー。ところどころセシル・テイラーのソロが入るが、山下洋輔は縦横無尽に入り込んでいく。終盤、山下洋輔とセシル・テイラーの長めのソロが交互に入り、フィニッシュはデュオ。すげぇ〜。アンコールは最初から最後までデュオ。まさしくインプロビゼーション!世紀の一夜を体感できた。
 『ラーメンでも食って帰る?』なんて云ってはいたけど、歩く気力もなく、そのまま秋葉原に出て、つくばエキスプレスで帰る。お互い妻が迎えに来てくれていたので、守谷駅で別れる。いやぁ、内容の濃い一日だったなぁ。
 じゃ、次は『蟲師』ということでね、ミチヒコちゃん。